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第11回 「厳寒の水中検索」 Y救助隊員 昭和52年3月1日の夕刻、病院に患者を収容し、救急車の無線で「病院引揚げ」を告げた時、「至急帰署せよ」との指示があった。 署に帰着して救急車を降りるなり、「潜水資機材を携行して○○池へ向かえ」とのこと、当務員の中で潜水経験のある職員と一緒に現場へと急いだ。 現場に到着すると、冬の陽は既に落ちてあたりは真っ暗、現場の警察官から、「若い夫婦が幼い子供二人を道連れに車ごと入水自殺を図ったが、父親は死にきれずに車から脱出、池の岸の木に首を吊っているのを発見されたもの」との説明であった。そして、「潜水して残りの親子を探してもらいたい」と要請された。 捜索を開始して間もなく水没した車を発見、運転席側の窓からは母親の上半身が出掛かっており、車内には幼い姉弟がまるでキューピー人形のように固くなっていた。 冬の池の水は想像以上に冷たくて、頭がしびれるように痛く、手指が思うように動かなくて、車にロープを結着するのに苦労したのを覚えている。 数日後、上司と一緒に花を持ってお参りしたとき、仏壇に遺影が4枚掲げられ、真新しい赤いランドセルが飾られていた。残された老夫婦が涙ながらにお礼を言われたが、私にもちょうど同じような子供がいたので何とも言えない気持だった。それからしばらくの間、床について目を閉じると、飾られていた仏壇の様子がまぶたに浮かび、寝付けなかったことを覚えている。 厳寒の水中での活動は、思考力が鈍り、身体機能も低下するため、潜水前に状況把握をしっかりと行い、一緒に潜水する者との意志統一を図り、活動時間の短縮に努めなければならないことを学んだ現場であった。 |
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